インサイド・ル-ウィン・デイビス

INSIDE1

新宿武蔵野館で
コ-エン兄弟のインサイド・ル-ウィン・デイビスを観る。
60年初頭のNYグリニッジビレッジ、
実在のSSW、DAVE-VAN-RONKをモデルに
一人のシンガ-の日常と挫折、そこから這い上がろうとする1週間を
リアルなライブシ-ンと
ネコや現実的、妄想的登場人物とともに
コ-エン兄弟らしく
コミカルかつ
ドキドキ感たっぷりに
描いています。
一般的なマスコミの謳い文句はそんな感じ。




★個人的には
現実に疲れ、一縷の望みを託して、なぞの黒魔術師とお抱え運転手のクルマでシカゴまで旅するくだり。
黒魔術師を自称するヤク中のローランドは元ジャズミュージシャンであり、
フォークシンガーと聞いてデイヴィスをこき下ろす。
寡黙な伊達男ジョニーファイヴは実は、
実在のOFF BROADWAY リービングシアターで賛否を呼んだ『BRIG(営倉)』に出ていた俳優であり、
デイヴィスの前で静かにセリフを語り始める。
INSIDE6


学生時代、ジョナスメカスの短編ドキュメンタリーでBRIGを観て
強烈にアンダーグラウンドシアターに惹かれた。
BRIG1
軍の中の主従関係から発生する暴力をダイレクトに描いたこの作品は、俳優があまりの暴力に耐えきれず逃走したことでも知られる、いわくつきの作品である。



1960年代のアメリカのカウンターカルチャーの記憶として
シーンの中に挿入されたのだろう。


プライヴェートライフでの閉塞から逃れ、
シンガーとして自分の存在を確かめるためのシカゴ行きは、
この奇怪な行きずりの男たちによって
悪夢のドライヴと化す。
身も心もズタボロにされ、
それを振り払うように車を残してひとりシカゴへ向かう。


この物語にはその横糸を担うように
猫が登場し、彼を翻弄し、癒し、運命の決断を迫る。
車に置き去りにされた猫が
その後のシカゴでの挫折を用意したのであれば
本当に怖いが、
それよりもなによりも
物語を通り越して猫の無事ばかりを祈ってしまう自分は、
相当の猫バカである。
INSIDE13



ライブシ-ンはたしかに素晴らしかった。
冒頭のガスライトでのライヴ。
INSIDE3
急遽レコーディングに呼ばれ、
売れ線を狙ったケッタイなナンバーをトリオで吹き込むとき。
INSIDE12

とりわけ
シカゴの有名なプロデューサー、
バド・グロスマンのオーディションを受けることになり
誰もいないステージでグロスマンの前で
The Death of Queen Janeを披露するシーンは格別だ。
INSIDE10



Queen Jane lay in labor full nine days or more
'Til her women grew so tired, they could no longer there
They could no longer there

"Good women, good women, good women that you may be
Will you open my right side and find my baby?
And find my baby

"Oh no," cried the women, "That's a thing that can never be
We will call on King Henry and hear what he may say
And hear what he may say"

King Henry was sent for, King Henry he did come
Saying, "What does ail you my lady? Your eyes, they look so dim
Your eyes, they look so dim"

"King Henry, King Henry, will you do one thing for me?
Will you open my right side and find my baby
And find my baby"

"Oh no, cried King Henry, "That's a thing that i can never do
If I lose the flower of England, I shall lose the branch too
I shall lose the branch too"

There was fiddling, aye, and dancing on the day the babe was born
But poor Queen Jane beloved lay cold as a stone
Lay cold as a stone


権力の無毛を皮肉ったこの歌は
デイヴィスの素晴らしい声とギターによって
美しくも果敢なく響くが、

グロスマンは一言
金にならない
髭を剃ってトリオの一員にならないかと話をすり替える。

絶望に苛まれNYに帰り、船乗り生活に戻る決意をするのだが・・・・



INSIDE11



アコギと歌だけで成り立つ弾き語りという空間は、
実に魅力的であり、デュオやトリオ、
バンドとはまったく違う別世界だ。
さあギターを取って弦を張れ
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