2016/04/10 今日のオープニング

今日のオープニングは
BOB DYLAN / MODERN TIMES
MODERNTIMES

今月はセール・コーナーの商品と
並行して来日中のボブ・ディランの
セット・リストに含まれるアルバムを
紹介していきます。
2006年リリースだからここからは
もう10年も経ってしまっていると思うと
なんだか複雑だなあ。
前作は2001年9月11日に発売されており、
9,11以後の世界でディランが何を発するのか?
かつてない期待が注がれた。
前作にひき続き、ルーツ・ミュージックに根差した
深みのあるサウンド、シンプルながら
魅惑的なリズムが散りばめられ、
3コードをベースにしたブギ、ロッキン・ブルース、
ロカビリーが①、③、⑤、⑨と半分を占めるも、
木の温もりを感じさせるような
奥行きのある録音も手伝って、
単調さは微塵もなく、
心地よく聞きとおすことが出来る。
ゴキゲンなビートに乗って、
ディランのヴォーカルは、
驚くほどドキドキするようなスリルを携えて
ロッキン・ローリン・ブルースを滑らせていく。

しかし一旦歌詞に目を通してみると、
直接的な表現こそないものの、
終末的世界観や死との距離について
重たく、辛辣な言葉が並び、
”あなたの飛行機は着陸させるに越したことはないよ”
(①)THUNDER ON THE MOUNTAIN
と現代への危機感を募らせ、警告する。

ビート・ナンバーに挟みこまれるように置かれた
ムーディなバラード、②SPIRIT ON THE WATERは、
ディラン流の屁理屈屋の大げさな比喩で、
”口説きうた”に仕立て上げている。
このアルバムから今回のライヴに唯一セット・イン。

スティール・ギターに導かれて
ゆっくりと歌い出される、
④WHEN THE DEAL GOES DOWNでは、
少ないコードのくり返しながら、
淡々と、しかしやさしい語り口で、
まるで聖書のように生きる苦悩を
乗り越えろと歌われる。
MODERN3

③ROLLIN' AND TUMBLIN
はすでにブルース・ファンには、
お馴染みのクラシックであるが、
そこで歌われる世界は、
冒頭こそ忠実ながら、
オリジナルを越えて
ディランの洞察眼が冴えわたり、
否定的な世界感がそこかしこに顔を出し、
とんでもないところまですっ飛ばしてくれる。

同じくブルース・クラシックとして、
ロック・ミュージシャンも数多く録音している
⑤SOMEDAY BABYは、
リズムの押し引きが絶妙にかっこよく、
ギターのリフも鞣した革のようによくしなる。
朽ちゆく自分を自虐しながら
かろやかなに歌うやけっぱちのラヴ・ソング。

ピアノの紡ぐイントロと
ディランの歌う美しいメロディが、
グッと胸を締めつける⑥
WORKINGMAN'S BLUES#2は、
利益追従主義のもたらす馬鹿らしさを
肉体労働者の目でこき下ろしている。

”このまま雨が降り続けたら、堤防が決壊してしまうだろう”
(⑨THE LEVEE'S GONNA BREAK)は
現在の日本にこそ当てはまるだろう。

9分にも及ぶ⑩AIN'T TALKINGで
様々なこの世の危惧を情景豊かに
映画のように語り、アルバムは締めくられる。

◆本盤はLIMITED EDITION 仕様で
3曲のライヴ映像を収録したDVDが付属する


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